お寺の業務は、法務だけでなく帳簿・檀家管理・寄付管理など多岐にわたります。
住職ひとりに負担が集中し、代替わりで混乱するケースも多く見られます。
こうした課題を解決するキーワードが「お寺DX」です。
お寺DXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務や仕組みを根本的に改善していくことを指します。
お寺DXとは、寺院の業務をデジタル化し、「住職や寺族の負担を減らす」「次世代へ引き継ぎやすくする」ことを目的とした取り組みです。
単なるIT導入ではなく、未来のために「仕組みを残すこと」が本質です。
お寺が抱えるよくある課題
- 帳簿が紙・手書きで管理されている
- 檀家情報が紙の台帳やエクセルに散在している
- 寄付や法要の記録が住職や寺族の頭の中にしかない
- 古い専用ソフトがブラックボックス化し、誰もメンテナンスできない
こうした状況では、代替わりや急な引き継ぎが発生した際に大きな混乱を招きます。
急な代替わりで先代の住職が行っていたやり方がわからない、紙では残っているが、何がどうなっているかわからない。
檀家台帳をaccessでくみ上げているが、個人のSEに頼んでいて、その方が亡くなってメンテナンスできない。
そのような事例に出会いました。
私は税理士でもあり、先代が急に亡くなった時点から過去の会計データから読み解いて、たぶんこのようにしていただろうというところを推測し、ようやく落ち着くまでに5年ほどかかりました。
お寺DXの具体的な取り組み例
- クラウド会計ツールで帳簿を整理する
- 檀家管理をNotionやkintoneに移行する
- 奉納・寄付記録をクラウドデータベースで共有する
- 法要スケジュールや備品管理をGoogleカレンダーや共有ツールにまとめる
特別なシステムを導入しなくても、汎用的なクラウドツールを活用するだけで大きな改善につながります。
クラウド会計では、寺院向けのシステムはほとんどありませんが、市販のソフトをアレンジして使うことも可能です。
檀家管理も、Excelや手書きのもを市販ソフトをアレンジして使うことも可能です。
比較的ニッチな業態であるため、専用ソフトが少ないことと、専用ソフトを使っても、そのソフトの開発、メンテナンスが継続されるかわからないということもあり、汎用的なクラウドツールをアレンジして使うのが良いと私は考えています。
進め方のポイント
- まずは見える化から:現状の帳簿や資料を整理し、最低限の数字やデータを把握する
- 一度に全部はやらない:最初は会計や台帳など、取り組みやすい部分から始める
- 住職ひとりで抱え込まない:若手僧侶や外部の専門家の力を借りる
まとめ:お寺DXは「毎日を軽くする工夫」
お寺DXは特別なものではなく、住職の日々の負担を少しずつ軽くしていく工夫です。
まずは帳簿や管理台帳をクラウドに置き換えるだけでも、次世代に安心して引き継ぐことができます。
同じような課題を抱えている寺院さまは多いはずです。
「うちも似ているかも」と思われた方は、ぜひお気軽にご相談ください。