税理士には、顧問先の情報をスプレッドシートなどで管理している方も多いと思います。
しかし、契約内容・対応履歴・進捗・納付スケジュールなど、情報が別シートに散らばると「全体像がつかみにくい」「属人化しやすい」という課題が生まれます。
そこで私が採用したのが Notion。
この記事では、税理士事務所で実際に運用している「顧客データベース(顧客DB)」の設計方法を紹介します。
「Notionって最近よく聞くけど、結局どういうもの?」
「なぜ税理士が業務に取り入れるのか?」
👉先に基本を知りたい方は、前回の記事、【税理士が解説!Notionを毎日使う本当の理由】からご覧ください。
顧客情報の管理、どこまで一元化できていますか?
Excelやスプレッドシートで顧客情報を管理しても、
- 契約内容
- 対応履歴
- 月次進捗 といった情報が別シートや別ファイルに分かれてしまい、更新の手間や漏れが発生しがちです。
Notionでは、これらを1つのデータベースにまとめ、関係する情報をRelation / Rollupでつなぐことで、すべてを一元的に把握できます。
私の事務所では、この顧客DBを中心に「月次処理」「郵送履歴」「契約管理」「税務スケジュール」などを連携させています。
顧客DBの基本設計(プロパティ構成)
実際に使用している主なプロパティは以下のとおりです。
プロパティ名 | 内容 | 用途 |
---|---|---|
顧客コード | 税務システムと共通の管理コード(例:C001、A102 など) | 税務システム・請求DBとの連携基準 |
顧客名 | 会社名・個人名 | メインキー |
契約区分 | 顧問/決算のみ/スポット | 業務範囲の明確化 |
担当者 | 所内担当 | 責任所在の明確化 |
決算月 | 例:3月 | 税務スケジュールと連携 |
顧問料 | 顧問DBや入金管理DBと紐づけ | |
対応履歴(Relation) | 月次DBと関連付け | |
郵送履歴(Relation) | 郵送DBと連携し、送付履歴を参照 |
💡 顧客コード設計のポイント
- 付番ルールは事務所ごとに統一するのが最優先。 例:法人は「C001〜」、個人は「P001〜」、スポット案件は「S001〜」など。
- Notionを“基準DB”とする。 税務ソフトや請求システムへ入力する際も、Notionで発行したコードを使用。 これにより、各システム間のデータ整合性を保ちます。
- Zapierなどで自動連携も可能。 新規顧客登録時に顧客コードを自動採番し、スプレッドシートや会計DBへ転記するフローも構築可能です。
Relation / Rollupで「つながる顧客管理」
Notionの強みは、複数のデータベースを関連付けて使えることです。
- Relationで「顧客DB」と「月次DB」を連携
- Rollupで「最終月次処理日」や「次回対応予定」を自動集計
💡 例:
「株式会社〇〇」のページを開くと、
- 契約情報
- 月次進捗
- 郵送履歴
- 担当者メモ がすべて1ページで確認できます。
この仕組みによって、引き継ぎ時の情報共有コストをほぼゼロにできます。
顧客DBと月次DBを分ける理由
よくある誤解が、「すべての情報を1つのデータベースに詰め込むこと」です。
しかし、それではNotionの動作が重くなり、表示に時間がかかることがあります。
そのため、私は次のように設計しています。
- 顧客DB:静的な情報(契約・担当・決算月など)
- 月次DB:動的な情報(処理進捗・対応履歴など)
両者をRelationでつなぐことで、「分けてつなぐ」設計が可能になります。
これにより、データベースが軽く保たれ、見やすく運用できます。
顧客DB運用のポイント
🗂 定期的なアーカイブ
過去年度の顧客情報を別DBに移動し、パフォーマンスを保ちます。
🔍 フィルター活用
「顧問先のみ」「今期のみ」「法人/個人別」など、プロパティをもとに柔軟な絞り込みが可能です。
🤖 Notion AIの活用
顧客メモの要約、議事録の整形などを自動化。
面談記録をAIに整理させることで、記録が「残る・読める・活かせる」状態になります。
まとめ:顧客DBが事務所の“中枢神経”になる
顧客情報を探す時間を減らすことこそ、業務効率化の第一歩。
Notionの顧客DBを中心に、郵送・月次・スケジュールをつなげば、事務所全体の情報が一元化されます。
- 「誰でもすぐに引き継げる」
- 「どこからでもアクセスできる」
そんな運営体制を実現するのが、Notionの顧客データベースです。
💬 最後に
思いついたメモも、スマホからすぐ書き残す。
TODOも、その日の業務ログも、Notionにすぐ残す。
だからこそ、私はNotionを「毎日開く」習慣になっています。
顧客DBは、税理士事務所の“見えない中枢”です。
効率化の最初の一歩として、ぜひ取り入れてみてください。
今回は「顧客DBの設計」を中心にご紹介しました。
Notionを日常業務にどう活かしているかは、前回の記事、【税理士が解説!Notionを毎日使う本当の理由】でも詳しく解説しています。
合わせてご覧ください。