AIに判断させる部分と、決め打ちプログラムで守る部分を分ける

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業務にAIを入れようとすると、「どこまで任せられるのか」で手が止まります。

全部任せるか、使わないか。その二択で考えると、たいてい決まりません。実際に必要なのは、AIに任せる部分と、プログラムで固定して守る部分を分けることでした。

AIに全部任せない方がうまくいく

AIを業務に入れるときは、できるだけ自動にしたほうが良いと考えがちです。手が空くほど良い、という発想です。

ただ、完全自動を目標にすると、例外が出るたびに仕組みのほうを直すことになります。例外は業務からなくなりません。結果として、直す作業が増えていきます。

いまは、全自動を目標に置いていません。続けられる形で回ることを目標にしています。

判断は人が持つ。ただし、判断に必要な材料は自動で揃える

線を引くとき、まず「判断」と「作業」を分けます。

  • 判断——これは経費として認められるか。この税区分で合っているか。この差額は調べる必要があるか
  • 作業——データを集める。並べる。前月と比べる。おかしそうなものを拾い出す

減らすのは作業のほうです。判断は人に残します。

そのうえで、判断に必要な材料までは自動で揃えておくようにしています。人に残すのは「考えること」であって、「考えるための資料を集めること」ではないからです。

ここを混ぜると、人が判断する時間より、判断材料を探す時間のほうが長くなります。

決め打ちで守るのは、毎回同じでなければ困るところ

一方で、AIに考えさせてはいけない部分があります。毎回同じ答えでなければ困るところです。ここは決め打ちのプログラムで固定しています。

もう一度動かしても、二度入らないこと

処理が途中で止まったとき、もう一度動かすことがあります。このとき同じものが二重に入ってしまうと、帳簿が壊れます。「すでに処理したものはどれか」を記録しておき、二度目は飛ばす。ここは判断の余地を作りません。

同じ処理が同時に走らないこと

同じ対象に対して二つの処理が同時に動くと、どちらの結果が残ったのか分からなくなります。いま動いているものがあるなら、後から来たほうは待つか、やめる。これも固定です。

おかしいと気づけること

自動で動く仕組みは、失敗しても気づきにくいことがあります。動いたのか、動かなかったのか、失敗したのかを記録に残して、あとから確認できる状態にしておく。気づけない仕組みは、動いていないのと変わりません。

この三つは、AIが上手に判断してくれるところではありません。毎回同じでなければ困るから、プログラムで守ります。

大事なのは、正しく止まれること

自動化がうまくいかないのは、たいてい「作れなかった」からではありません。想定していなかったことが起きたときに、止まり方が決まっていなかったからです。

判断がつかないものに無理やり答えを出させると、間違いが下流に流れていきます。そのまま気づかず進むほうが、止まるより厄介です。

なので、分からないものは分からないまま止めて、人に戻すようにしています。止まること自体は失敗ではありません。止まったことが誰にも伝わらないことが失敗です。

そしてもう一つ。人が覚えていてボタンを押す工程を残さない。 忙しい日に当たると、その工程は飛ぶことがあります。飛んだことに気づきにくいこともあります。人が判断する工程は残しますが、人が覚えておかないと進まない工程は減らしていきます。

会計の現場では、どう線を引いているか

月次のチェックでも、同じ分け方をしています。

税区分が合っているかどうかの確認は、「エラー」ではなく「要確認」として出します。 機械的に間違いと決めつけないためです。取引の中身や使い方によって、正しい答えが変わることがあるからです。

判定できないものは、「判定不能」としてそのまま残します。 無理に白黒をつけません。人が見る場所として残しておくほうが、あとで説明できる状態になります。

拾い出すところまでは自動で、決めるのは人。確認すべきものを埋もれさせないために、この形にしています。

まとめ

  • 判断は人が持つ
  • 判断に必要な材料は自動で揃える
  • 二重に入らない・同時に走らない・おかしいと気づける、この三つは決め打ちで守る
  • 分からないものは止めて人に戻す
  • 人が覚えてボタンを押す工程は残さない

「AIに任せる/任せない」ではなく、工程ごとに分ける。いまのところ、この考え方で運用しています。

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