GPTでつくる「月次報告書プロンプト」|会計報告を効率化する新しい方法

ノマドワークフロー

これまで、税理士業務で欠かせない月次報告書は、
Excelの雛形に数字を打ち込み、グラフを作り、コメントを書く――
そんな手作業の積み重ねでした。

しかし今は、GPTを活用して月次報告書を自動生成できるようになりました。
現在、3社分の月次報告書をこの仕組みで作成中です。
精度も安定し、報告業務が大幅にスピードアップしました。

GPTプロンプト設計の考え方

まず、GPTに指示を出す際の基本構造を整理します。
入力するのは、次のような要素です。

  • 報告対象月(例:2025年9月)
  • 報告書作成日
  • 事業年度開始日
  • 業種、設立初年度・休眠解除などの特記事項
  • 年末調整や税務スケジュールなどの連絡事項

さらに、GPTに読み込ませるCSV一覧を冒頭で羅列します。
たとえば:

  • 月次推移BS
  • 月次推移PL
  • 勘定科目明細
  • 部門別損益
  • 給与・社会保険関連データ

このように整理しておくと、GPTは財務の全体像を把握しやすくなります。

その上で「報告書の雛形」と「出力形式(マークダウン形式など)」を指定。
これで、月次報告書の原稿が自動的に出力されます。

出力された報告書の扱い方

生成された文章は、そのまま使うのではなく、
Notionに貼り付けて整形・追記を行います。

Notionでは、

  • 目次ブロックで構成を可視化
  • 数字部分を表形式で整列
  • コメント部分に補足メモを追加

といった形で編集。
以前のようにExcelに数字をコピペする必要はありません。
これだけでも、作業時間は従来の1/3以下になりました。

多少の「GPTの暴走」はありますが、
最近は安定して出力されるようになり、
文体の調整もテンプレート化しています。

財務指標も自動で算出

報告書内に独自の財務指標を加えることも可能です。

例として、素材製造業のクライアントでは以下の指標を追加しています。

指標現状値目安コメント
原価率115.6%70〜80%売上を上回る原価水準。工程別原価の見える化が必要。
労務費比率48.8%30%前後人件費負担が重い。多能工化・稼働率改善を検討。
仕掛品回転0.110.05〜0.10仕掛品の滞留に注意。工程見直しを。

このように、業種に合わせた指標をあらかじめプロンプトに埋め込んでおくことで、
GPTが分析コメントまで生成してくれます。

月次報告書を「会話のきっかけ」に

これまでの報告書づくりは、
「数字をまとめて説明する」ための作業でした。

でも、AIを使えばその部分は自動化できます。
むしろ重要なのは、報告書をきっかけにお客様と対話する時間を増やすことです。

例えば:

  • 3ヶ月の推移を見ながら来期の投資計画を話す
  • 費用構成を見て人件費の適正を一緒に考える
  • KPIを共有して現場の改善に落とし込む

数字の説明は、1時間の報告のうち10分程度。
残りの50分を「経営の話」に使えるようになります。

AI+人のチェックで品質を高める

AIが生成した報告書をチェックすることで、
人間が「抜け」や「違和感」に気づく場面も多くあります。

たとえば、前期比較の金額差異、仕掛品残高の異常値、給与水準の変化など。
AIが下書きを作り、人が洞察を加える。
まさに「人とITの融合」が実現します。

今後の展開

今後は、

  • ChatGPTプロンプトをさらに汎用化
  • Notionテンプレート化して共有
  • kintone版への展開

などを計画中です。
作業時間を減らしつつ、“生きた情報”を届ける仕組みへ。

月次報告書を「提出書類」ではなく「経営の会話ツール」に変える。
それが、NOMADSYNC WORKSが目指す方向です。

人とITの調和へ

AIが文章を作り、人が文脈を読み取る。
この連携こそが、業務の質を高める鍵だと思います。

数字を超えて、対話を生み出す月次報告書へ。
それを支えるのが、GPTプロンプト設計です。

人とITの調和。
これからもNOMADSYNC WORKSは、その実装を進めていきます。